七人の侍

CGが発達する前の時代でも

ダイナミックな映像は撮れることを教えてくれる

七人の侍

 

野武士が馬で村に攻めてくるシーンは圧巻。

雨の決戦も素晴らしいの一言。

晴れではなく雨で大正解。

 

大雨の中、嵐の如く激しく戦い

快晴の中、平和になった村で

百姓は田植えをする。

 

そしてラスト勘兵衛のセリフがカッコ良すぎる。

 

「今度もまた負け戦だったな…

いや、勝ったのはあの百姓たちだ

儂たちではない」

そうして黙って村を去るのだ。

 

なんなの!!!

こんなかっこいい人たち今日本にいる?笑

 

でも確かに勘兵衛の言うとおりなのだ。

侍たちは腹一杯のご飯だけの為だけに

わざわざ命を張って村を襲う野武士たちを

殲滅する。

 

結果、村は守ったものの

7人のうち4人の仲間を失う。

超ハイリスクほぼノーリターン。

 

侍は多分

村の人から感謝されたかったんだと思う。

「ありがとう」と言われたかっただけ。

村からの敬意が欲しかったんだと思う。

 

でも、野武士を討伐した後の百姓たちの様子は?

 

侍なんかどうでも良さそうである。

 

侍なんていたっけ?みたいな感じで

音楽に乗りながら朗らかに田植えをするのだ。

侍の前を通ってもお辞儀すらしない始末。

 

百姓にとって侍は駒でしかなかった。

 

でも、それは自業自得。

この侍たちは違っても、

今まで百姓たちが出会ってきた侍とは

略奪、野蛮の象徴なのだ。

位は上で表面は敬っているようでも

本来なら憎たらしい存在。

 

映画の中盤で百姓が野武士たちを殺し、

鎧や兜、武器を隠し持っている事が分かった時

1番強い久蔵は「百姓を斬りたくなった」と吐き捨てる。

自分たちが没落した時、苦しくなった時に

百姓ごときに冷たく斬り捨てられることが分かったからだ。

 

それでも侍は粛々と任務を遂げる。

百姓生まれの菊千代の一言が効くからだ。

「百姓をこんなのにしたのは侍のせいだ」

 

もはや侍たちに

百姓の為に一肌脱ぐ、という気持ちもない。

ただ約束をしたからには任務を全うする。

それだけ。

 

…こんな人、今の世の中にいるだろうか?

海外なんて少しでも面倒になったらすぐ逃げ出す。

今の若い世代もそうだと思う。

偏見かもしれないけど。

 

この、嫌になっても約束は守る。

という姿勢に個人的にかなりグッときた。

 

なんの見返りも求めず、ただやる事を全うする。

こんな人間になりたい…!

カッコ良すぎるだろう…

 

自分が生まれる前に

こんな至宝の作品が作られていたとは。

 

 

 

ちなみに黒澤映画のキャストは

どの映画でもほとんど同じ人が出てくる。

それは黒澤明が演技力のある俳優しか欲しくなかったから。らしい…

 

晩年はこだわりが強すぎて予算が膨らみ

スポンサーが賄いきれず離れていったらしい。

 

それにしても

こだわり抜いた作品が必ず傑作になるって

とんでもない才能だわ